Synla-Sariの曲作り

世の中にはいろいろな曲作りの方法やスタイルがあると思います。Synla-Sariの音楽づくりは、音楽的な経験、背景の違う二人のそれぞれのアイデアをKG が音にして仕上げていく方法です。

 

我々の作り方で多いのは、N.の側からKGへ素材(ピアノでの1曲を通したデモや、アイデアや基盤となるモティーフなどのパーツ)を伝えるところから始まる曲作りです。その後その素材をKGがデジタルの世界の中に落とし込むための時間が始まります。KGはしばらく鶴の恩返しのように籠るのです。そして、ラフなスケッチができてきます。勿論、KG側の発想が起点になることも沢山あります。

 

どちらにしても、このラフなスケッチからの作業は、二人してあーでもない、こうでもない、のディスカッション→KG作業→ディスカッション→作業。完成までの過程では、意見が一致することばかりではありません。相手の提示に対し「そうだね」と言いつつ、心の中では「そうかなぁ?」だったりもします。特に作り始めの段階では、同じ一曲をめぐって二人それぞれの頭にはに全く違う音楽が鳴っているのでしょう。完成した時には一人で考えた時とは違う形になることが殆どです。二人が異なること、それが却ってよかったりします。

 

Synla-Sariでの活動を始めた当初、「異なる土壌での音楽経験同士のブレンドからはどんな音楽になるんだろう」というトライアルな気持ちもありました。このトライアルは、1曲ずつ作った曲が増えていくにしたがって、曲の中で感じる世界観が多様になり、また曲数が増えてきたことによって、Synla-Sariの世界は、輪郭の広がりだけでなく質感や色合いの違うものも増えて、育ってきたように思います。

 

我々二人に共通するのは子どものころから音楽のことばかり考えてきたような経歴です。また、二人ともプレイヤーとしての自分を思い描いたことはない点も共通です。特にKGは「つくる」ことが人生、のような人です。N.は「子どもたちと一緒に音楽を育てる」感覚で指導現場にいることが無上の喜び、なのです。

 

こうして曲を作るようになる以前から、私たちは映画を見てもちょっとした動画を見ても音楽が気になります。映画やドラマだって、劇伴が好きだから見逃せない、ということもたびたびです。世の中の名だたる劇伴コンポーザーやプロデューサーの作り出す音楽にはひれ伏して拝聴拝聴、の日々、サントラで音楽だけを聴いても、どんなシーンだったかよみがえるほどです。

 (N. )